実家の取り壊しなど人生で初めて解体工事をする場合、必要な手続きや解体工事業者にどこまで一任していいのかなど、分からないことばかりだと思います。
本コラムでは解体工事に必要な手続きや解体工事の流れ、解体工事業者の選び方を詳しくご紹介します。
解体工事は業者に依頼すればすぐに建物が解体できるというわけではなく、いくつかの手続きを行わなければなりません。
ご自身で行わなければならないものと、解体工事業者に依頼できるものがあります。
・解体工事届出(建設リサイクル法)
正式名称を「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」と言い、解体着工の1週間前までには届け出なければなりません。
工事場所や工事内容について詳細を記した書類を、直轄の役所へ届け出ます。
法律上は解体工事を依頼した本人に提出義務がありますが、届け出を代行してくれる解体工事業者もありますので、事前に確認しておきましょう。
その際は委任状を解体工事業者に提出しなければなりません。
・道路使用許可申請
解体工事を行う敷地内に重機や車両が入る十分なスペースがあればいいですが、ほとんどの場合は道路上に車を止めなければ作業ができません。
そのような際には、道路交通法に基づき、道路使用許可申請が必要です。
・ライフラインの停止
解体工事を行う前に、電気・水道・ガス・電話・インターネットなどのライフラインを停止する必要があります。
何日から止めてほしいと供給会社へ連絡をすれば対応してもらえますが、手続きに数日かかるという場合も考えられます。早めに連絡することをおすすめします。
・近隣説明会
解体工事を近隣に周知するため、挨拶回りや説明会を行うことはご存知かもしれません。しかし自治体によっては、条例で義務付けられている場合もあります。
・残置物(家具・家電)の処分
解体工事に着手するまでに家財道具の撤去をしなければなりません。必要なものは運び出し、不用品は処分します。量が多かったり、亡くなった方の家屋を解体するような場合でご自身が対応できないときは専門業者に依頼することもできます。追加依頼をすれば、解体業者が不用品回収も併せて行ってくれる場合もあります。
解体工事が終わった後にも手続きが必要です。
・解体業者から書類の受取
解体工事が終わったら、依頼した業者から以下の書類を忘れずに受け取ってください。
1.取り壊し証明書
2.登記事項証明書
3.印鑑証明書
これらは建物滅失登記申請を行う際に必要な書類です。
忘れずに受け取りましょう。
・建物滅失登記申請
建物が解体され存在しなくなったということを、法務局に申請します。これを建物滅失登記申請と言います。
建物滅失登記申請を行わないと、10万円以下の過料が求められる場合もありますので注意が必要です。申請はご自身でもできますが、司法書士に依頼して対応してもらうこともできます。
建物滅失登記申請は、解体工事が終わってから1カ月以内に申請する必要がありますので、解体工事が終わったら直ちに申請手続きを始めましょう。すぐに行えば、申請を忘れることはありません。
亡くなった両親や親族の家屋を解体するのは法律上全く問題はありませんが、解体前にいくつか確認しておかなければならないことがあります。
亡くなった方から相続した家屋をすぐに解体する場合、相続登記は必要ありません。
しかし解体する前に、相続人全員の許可を取っておく必要があります。
相続人で解体を話し合うためには、解体しようとする家屋の名義人をはっきりとさせておかなければなりません。
解体には費用がかかりますから、誰が費用を負担するのかについても話し合う必要があります。
解体工事の大まかな流れを把握しておきましょう。約束の日時までに作業が終わらなかった、トラブルが発生したなどの状況にならないよう事前に確認しておくと安心です。
①業者との契約
②事前の手続き
③足場の組み立て
④周辺物の解体
⑤建物本体の解体
⑥地中物の確認、撤去
⑦整地
⑧解体後の手続き
不明点や心配事があれば、細かいことでも随時解体工事業者に質問してみましょう。
解体工事業者の選定は非常に重要です。
悪質な解体業者に依頼をしてしまい、近隣へ迷惑をかけることになったり余計な費用がかかったりすることもあります。業者選びで後悔しないように、選ぶべきポイントを押さえておく必要があります。
解体工事は、知識があれば誰でもできるというわけではありません。
解体工事を行うためには「建設業許可」もしくは500万円以内の解体工事であれば「解体工事業登録」が必要です。
優良な業者でしたらホームページに許可証や登録番号を記載しているはずですから、確認してみてください。
解体工事業者を選ぶ際には、いくつかの業者に相見積もりを取ることをおすすめします。
価格の妥当性はもちろんのこと、一括の概算ではなく何を行うのか詳細が記載されているか、注意事項や追加料金の記載がないかなどを注意深くチェックしましょう。
工事内容を明確に示し、他社と比べても妥当ではっきりと書面で示してくれる業者を選んでください。
担当者の対応も重要視すべき点です。
身だしなみや言葉使い、工事に関する説明や質問に真摯に対応してくれる業者かどうかもしっかりと確認しましょう。
特に解体工事は騒音やほこりが発生しますので、近隣住民への気遣いが大切です。
近隣への対応についても事前に確認しておくようにしてください。
マニフェストとは、解体工事で発生した廃棄物が適正に処理されたかどうかを確認する書類のことです。
廃棄物運搬業者や最終処分業者名も記載されていて、解体工事後にコピーをもらうことができます。
マニフェストの発行ができない業者となると、不法投棄の可能性も考えられます。
解体工事を行う前にいくつか手続きが必要です。
ご自身で行わなければならないものと、解体工事業者に依頼できるものがあり、着工の1週間ほど前までに手続きしなければなりません。
また、解体工事後も「建物滅失登記申請」などの手続きが必要です。手続きを忘れてしまうと10万円以下の過料が求められる場合がありますので忘れないように注意してください。
解体を行うためには解体工事業者に依頼をしなければなりません。
大切な建物を解体する際に、業者選びを失敗して後悔することのないように4つのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
①許可や登録を保有している業者か
②見積りは妥当か
③素人にも丁寧に説明してくれているか
④マニフェストを発行してくれるか